2012年06月16日

おもろ

 いよいよ今晩は、「天燈会・其の九〜水無月の巻〜世界平和への祈り」が、開催されます。
毎度色々な演出がなされる奉納舞台ですが、今回は、その中に神前での「おもろ奏上」があります。普通は「祝詞奏上」では?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
 ご存知の通り、「おもろ」とは、古琉球の人びとが、豊かな思想(思い)の世界をおおらかに表現した古い歌謡です。その語義は、ウムイ(思い)で、思いを韻律的に表現したものです。
「おもろ」は、祭りにおける神にかかわる言葉を発し、その主題は、太陽の美しさや祭祀儀礼・酒宴・航海・地域の有力者や国王を称えたものまで多岐にわたっており、その地域も奄美から沖縄諸島までの広範囲にわたっていて、今日でも神女が祭場で謡う神歌をウムイという所もあるそうです。
元来、祭の場や夜籠りの場などで口から耳へ語り謡い継がれた口承歌謡の「おもろ」は、16世紀から17世紀にかけて奄美・沖縄で謡われた1553首(重複を除けば1244首)が、三回にわたり首里王府でまとめられ、全22巻からなる官撰「おもろさうし」が出来上がりました。
「おもろ」には、昔の言葉が使われているだけでなく解読不能の言葉もあるそうです。
神々に捧げられた言葉、つまり祝詞なのです。
今回使われる「おもろ」は、一部創作された下記のものです。


むかしはじまりのふし ( 大 意)

むかし はじまりや( むかし 天地の始め)
てたこうふぬしや( 太陽神は) 
きよらや てりよわれ(美しく照り給わり) 


また、せのみはじまりに  ( いにしえ 天地の始まり)
また、てたいちろくか(太陽が)
また、てたはちろくか
また、おさん しちへ みおれは(下界を見下ろし)
また、さよこ しちへ みおれは
また、あまみきよは よせわちへ (あまみきよを呼び寄せ)
また、しねりきよは よせわちへ(しねりきよを呼び寄せ)
また、しまつくれ ててわちへ(島を創る様に命じた)
また、くにつくれ ててわちへ (邦を創る様に命じた)
また、ここらきの しまじま (たくさんの島々)
また、ここらきの くにぐに (たくさんの邦々)
また、しまつくる ぎやめも (島ができることを)
また、くにつくら ぎやめも (邦ができることを)
また、てたこ うらきれて(太陽神は心待ちにした)
また、せのみ うらきれて
また、あまみや すちや なすな ( あまみきよ 子を成す様に)
また、しねりや すちや なすな ( しねりきよ 子を成す様に)
また、しやりは すちや なしよわれ (その血統を絶やさぬ様に)


てんじゅくめのおんかみ きよらけくてりよわれ ( 天受久女の御神 清らかに照り給わり)
てんちせのみはじめに あけもどろさいわたれ ( いにしえの天地の始め 暁の空は映え渡る)
ゑけ てんとうくがにづき あれよきよやらよ ( ああ、天に登る黄金の月よ なんという清らかさ)
ももとよとわに いやさかえ ( 永劫に栄えあれ)

今回の天燈会は、沖縄復帰40周年を祝い、世界平和を祈って催されますが、私は、人が集い、芸能を共に愉しめることは、平和な世の中であることの象徴と考えます。
天地創造を謡った「おもろ」に込められた古人(いにしえびと)の神々への畏敬・感謝の念を、神様のもとで皆さまと共に、心で聴きたいと思っています。



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Posted by 琉球の祭典 at 12:56 │沖宮(おきのぐう)